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人気企業に固執して何が悪い。就活でそう言った彼が東京から消えた

私が学生だったころ、就活市場は冷え切っていた。 時は、リーマン・ショック。新卒採用の数は信じられないほど削られた。 100社受けて1社内定するかどうかの高倍率。

自己分析 就活とは何か キャリアプラン

作成日:2020年05月25日  更新日:2020年06月09日

ざっくり言うと

  • 就活で人気企業にこだわる彼は、業界トップの会社だけを受けまくる就活を始める。
  • 周囲は現実を見ろと彼をいさめるが、彼は聞く耳を持たなかった
  • 数年後、彼は九州に移住していた。そのわけとは……?

東大、一橋、京大といった、高学歴の学生すら、無内定を覚悟せねばならなかった。

40万人の就活生はパニックに陥り、どうにかして内定を得ようとした。
わずかなコネにすがってみたり、安定していると噂のインフラ業界に群がったり。

そんな中、妙に自信のあるグループもいた。
一つは実力があるとはっきりしている人たちだ。

トリリンガルや、強豪の体育会系出身者など、不景気でも「可能性を持てていた」人たちだ。
彼らには彼らの戦いがあったと思うが、少なくとも何も考えずに不景気を迎えた学生とは、違う土俵に立っていた。

だが、彼は違っていた。
 

「クレイジーで賢い」誰もが尊敬する彼が見せた人気企業への希望


私が彼のことを知ったのは、友達づての紹介だ。
「めちゃくちゃ頭がいい人がいる」
そう紹介された。 「彼って頭がいいけど、クレイジーでもあるの」と笑いながら。

一目見て、彼は確かにクレイジーだと感じた。
そもそも彼は、大学へ来るのにわらじを履いていた。


必修の授業を放り出してラテン語に精を出していた。
先生に議論を吹っかけて、論破すらしていた。

どんな大学にだって変わった学生がいないわけではない。
けれど、彼はその中でも際立って変な学生だったと思う。

そこまで尖った彼だったから、就活で商社志望だと聞いた時はかなり驚いた。

当時も今も、総合商社といえば「王道の人たちが行く会社」というイメージだ。 比較的恵まれた家庭に育ち、親も金融や官僚など手堅い職業についている。
中学受験して、そのままエスカレーターで良い大学に進む。
スポーツで成果をあげ、さらに交換留学を経験してきたような人たち。

私は就職活動の相談に乗り始めて約10年になるが、総合商社に内定する人材はどんな時代もこういったタイプで構成されている。
そこに、「わらじを履いて大学に来る彼」は入る余地がなさそうだった。
能力というよりも、異端すぎたからだ。

 

「自分は優秀だから」と就活で人気企業ばかりを受けた彼

もちろん、総合商社だけを志望していたわけではない。
彼はその他にも、不動産外資系・コンサルティングファーム・広告代理店・インフラ業界と、バランスよくエントリーしていたた。

ただ、彼が他の人と違ったのは、業界1位の会社だけをかたくなに受け続けた点だ。

なぜそんな無謀なことをするの?
そう聞いたのは、私の友人だった。

彼は「優秀な人間だから。優秀な人材は、優秀な人が集まる会社に行くのが当たり前だから」とこともなげに言った。
普通の人が言ったらドン引きかもしれないが、彼は確かに優秀だったのだ。
私たちは黙った。
 

優秀だった彼が、就活では人気企業に落ちまくったわけ


そして彼は就活に苦戦した。
元々彼は、頭が切れるタイプというよりも、コツコツと何冊も本を読むことで知識量を積み重ねるタイプだった。
言うのは簡単。だが、コツコツと勉強することは大学生にとって一番難しいことだ。

バイトにかまけて楽な授業ばかりを選ぶ学生は多い。
卒論すら書かなくても卒業できる大学はたくさんある。
そんな中で難易度の高い文献に当たる彼は、誰からも尊敬されていた。

だが、彼はなぜか就活で、その勤勉さを発揮しなかった。
彼いわく、「だって、筆記試験もESも簡単だったし」とのことだ。

確かに、就職活動の筆記試験は大学受験に比べれば難易度が低い。
だが、簡単な問題を高速で解く必要がある。
これを書いている私は、恥ずかしながら初めてSPIの模試を受けたとき、数学で5割を取れなかった。

対照的に、彼はやすやすと筆記試験をこなしていた。
どの有名企業を受けたときも、試験で落ちることはなかった。
だが、彼は面接で落ち続けた。

彼には学生時代の経験として語れるエピソードが、勉強しかなかったのだ。
 

チームワーク経験不足で、人気企業から就活で落とされる悲劇


新卒採用の就活では主に、チームワーク経験を問われる。
大半の企業は、チームで仕事をするからだ。
チームワークを発揮して成果を出せなければ、どれほど優秀でも、企業としては扱いづらい人材になる。

実際、彼のようなタイプを使いこなせる企業はそうなかったと思う。
彼は優秀で学会での発表も経験していたが、それは全て独学によるものだった。

彼を尊敬する人は周りにいたが、彼はその周りを助けようとは思っていなかった。
冷たいというよりも、周りより自分の勉学にだけ興味があった。

学生時代はそれで全く問題なかった。
利害関係がないのだから。
面白い人間や、とがっている人間であれば、周りに人は群がる。

だが、企業はそういう場所ではない。
会社に利益をもたらしてくれる人材でなくては、仲間になれない。
有名企業には、チームワークを前提として求める会社が多い。
その観点から、彼は内定できなかった。
 

就活で人気企業から落ちた彼なりの「ああしていれば」という答え


結論として、4年生の春――卒業直前のタイミングで彼には内定がなかった。

当時の私は、歯がゆくて仕方がなかった。
優秀な人を採用できない、企業の方が悪いのだと思っていた。

だが自分自身も入社してすぐに思い知った。
一つのプロジェクトを達成するために、何人と関わらなくてはいけないか。
自分より目上の人に、提案を通すためにはどれほどの協調性が必要かを。

彼はその後、実家がある九州に帰った。
その後は地方公務員として働いていると聞いた。

彼は本を読むことが好きだったから、あまり残業をせず自宅の本を大量に読めるこのキャリアを、気に入っているらしい。


そして数年がたった。

私が就職活動の支援をしているとSNSで知ったらしく、彼から久しぶりに電話が来た。

伝えたいことがある、と彼は言った。

「もし、あのときの自分が有名企業以外も受けていたら。もし、自分がチームワークが苦手だということを認めて、それでも働けるような企業をきちんと探していたら。今の生活は幸せだけど、そう思うことが何度もある」

本音を言えば、東京で働き続けたかった。
彼は言った。
この記事を、同じく学校で「優秀だ」と言われて信じている学生に届けてほしい。
その伝言をうけたまわって、いまここで筆をとる。

学内で優秀なことは、有名企業への内定を約束しない。
むしろ、あなたの内定をはばむ敵になるかもしれない。
そんなメッセージを込めて。

 

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この記事を書いた人
投稿者

トイアンナ

就活ライター 。大学を卒業後、外資系メーカーのマーケティングを約4年経験。その後、ライターとして独立。書籍『確実内定』など多数。