【業界研究】多様な可能性を秘めた化学業界
文系にはなかなかイメージがつきにくい化学業界とは?
2015.12.30
ざっくり言うと
- 化学業界は2014年以降業績が好調に推移している
- 人々の豊かな生活に大きく貢献することができる
- 文系にも道は開けている業界!
はじめに
就活生の皆さん、業界研究は進んでいますか? 本コラムでは「化学業界」についての業界研究を紹介します。なかなか化学系といわれてもイメージがつきにくい業界ですが、自分に適した業界が見つかるきっかけになるかもしれないので、ぜひ参考にしてみてください。
化学業界とは?
化学業界とは、石油化学、無機化学、油脂、電子材料、塗料、肥料、農薬など幅広い素材を手掛ける業界で、自動車からスマホの部品まで多様な素材を提供しています。その中の中心が石油化学であり、石油化学製品にはガソリンを原料にしたナフサが主に使用され、これを基に多様な素材や製品を製造しています。自動車や半導体まで幅広い業界と繋がっている化学業界は、2014年に入っておおむね業績は好調に推移しています。
業界地図
【三菱系】
1.三菱ケミカルホールディングス(3兆4988億円 総合化学トップ)
2.大陽日酸(5277億円 工業ガス最大手 2014年11月に三菱ケミカルホールディングスに買収され、連結子会社に)
3.三菱ガス化学(5346億円 基礎・機能品が主体)
【三井系】
1.三井化学(1兆5660億円 樹脂原料フェノール最大手)
2.ダイセル(4137億円 酢酸セルロース大手)
3.電気化学工業(3768億円 無機化学に強み)
【住友系】
1.住友化学(2兆2437億円 総合化学大手)
2.エア・ウォーター(6412億円 工業用ガス大手)
3.住友ベークライト(2060億円 電子材料大手)
【UFJ系】
1.積水化学工業(1兆1108億円 樹脂加工大手。多角化。)
2.宇部興産(6505億円 セメント、機械などに展開。特殊化学品に注力)
3.関西ペイント(2873億円 自動車用塗料好調)
【みずほ系】
1.昭和電工(8480億円 石油化学、アルミ大手)
2.東ソー(7722億円 塩ピ、ソーダ大手)
3.日本ゼオン(2964億円 古河系化学中核)
【その他】
1.富士フィルムホールディングス(2兆4399億円 複写機、医療、液晶材料などに多角化)
2.旭化成(1兆8977億円 化学、住宅、機械など)
3.信越化学工業(1兆1658億円 塩ピ樹脂世界首位、半導体ウエハーもシェア高い)
4.日東電工(7498億円 テープ基幹の総合材料)
5.DIC(7056億円 インキ世界首位。アジア、欧米で販売強化)
(キャリタス就活2017 業界MAPより引用)
業界の魅力とネガティブ要素
業界の魅力としては、石油化学製品は今日の豊かな現代生活にとって切り離せないものとなっており、人々の生活に深く浸透しており、そのような現代生活の基礎とも言える石油化学製品を安定的に生み出すことで人々の豊かな生活に大きく貢献できる点。また、石油という貴重な資源を原料に、大きなエネルギーを使用して生産しているため、資源の有効活用および省エネという観点からも今後大いに貢献していける点などが魅力的です。
ネガティブ要素としては、昨今の急激な円安と原油価格高騰で石油精製・販売事業は苦戦しています。また、その煽りでナフサの価格も高騰しており、汎用性を作る石油化学から高機能・高付加価値製品を扱う機能性化学へとシフトが進んでいます。
今後の展望
今後の展望としては、急激な円安と原油価格の高騰に伴い、高付加価値の機能性重視の商品開発に力を入れていくとみられます。この業界で今後注目されていることは「シェールガス」という分野です。時事問題に詳しい就活生なら聞いたことがある用語だと思いますが、シェールガスとはこれまで採掘が難しいとして開発されなかった非在来型のガスです。
2000年代に入ってからは、米国で急速に開発が進み、米政府は、シェールガスの日本への輸出解禁を決めており、今後ますます注目される分野であると考えられます。こういった、今までにない分野で、私たちのあらゆる生活に影響を与えられるということ考えると、化学業界の今後の幅広い可能性と、将来性も見えてくるのではないでしょうか。
おわりに
いかがでしたでしょうか? 本コラムで紹介した「化学業界」は、理系の学生にとっては馴染みのある分野かもしれませんが、文系の学生にとってはあまり知らない業界であったかもしれません。
前述したように、化学業界は、私たちの生活にはなくてはならないものばかりで、幅広い可能性を秘めた業界であるといえるでしょう。就活を控えた学生は、一度この業界の会社説明会に足を運んでみてはいかがでしょうか?